長い年月をかけて進化してきた人の体は今もなお進化しています。
進化という言葉を別の形で表現すると、「環境に適応してきた」とも言えます。
恐竜が栄えた時から、今現代の環境は全く違います。
今の環境に適応できた種族が、現代に生きていると言えます。
変化する環境とヒト
現代でも、常に私たちを取り巻く環境は変化してきています。
例えば
・進む温暖化
・変わる食生活
・歩かない生活環境
このようにこの数年でも、様々な環境の変化が起きています。
文明が発達するにあたって確実に私たちヒトの体も変化してきていると言えるでしょう。
衰える子供の体力
上記のように、子供の体力は昭和60年から現在まで低下傾向が続いていると文部科学省が発表しています。
こどもの数自体が減っていることもありますが、外で遊ぶ子供が減っていたり、ゲームやスマホなどの遊びが増えているなど様々な要因があります。
体力とは
体力とは人間の活動の源です。
国が「子どもの体力向上」を掲げるきっかけとなったのは、子どもの「走る」「跳ぶ」「投げる」といった運動能力の全体的な低下が背景にありました。
さらに、「体力低下」は運動能力だけにとどまらず、子どもの健康にも影響を及ぼしていました。
授業中に姿勢よく座っていることができずに机に突っ伏していたりする子が増え、肥満傾向の子どもが増えて高血圧や高脂血症など生活習慣病のリスクや、こどものロコモティブシンドロームなどが懸念されるようになったのです。
こどもの体格の変化
体力の低下は感じている人は多いと思います。
しかし、身長、体重など子どもの体格は向上しており、文部科学省が毎年実施している「学校保健統計調査」によると、現在は身長も体重もほぼ伸びが止まっているものの、平成13年と親の世代である昭和46年(30年前)と比較すると、11歳男子の身長で4.5cm、14歳男子で4.6cm、17歳男子で2.6cm親の世代を上回っています。
このように、体格が向上しているにもかかわらず、体力・運動能力が低下していることは、体力の低下がさらに深刻な状況であることを示しています。
動かさないといけない体は大きくなっている以上、本来ならより大きなエネルギーが必要になるはずです。
体力低下の影響
こどもの体力低下の影響に関して、大きく2つの影響があります。
1.こども自身への影響
こどもの体力が低下が起きることで、運動能力の低下や肥満などの生活習慣病などの健康面、意欲や気力の低下といった精神面などの様々な悪影響を及ぼします。
それは結果的に、こどもにとって「生きる力」を身につける上ではとても悪影響を及ぼしてしまいます。
こどもの遊ぶ場所が減ってきているなど、環境面の変化もありますが、体力の低下によりますます動かなくなり、結果的にゲームなどの体を動かさないことを選択肢、ますます体力の低下を招くという悪循環に陥ってしまいます。
2.将来の社会全体への影響
「こどもは宝」と呼ばれるように、こどもは将来の日本を担う大切な存在です。
そんなこどもの体力の低下は、国民全体の体力低下につながり、生活習慣病の増加やストレスに対する抵抗力の低下など、心身の健康に不安を抱える人が増えることになるでしょう。
結果として、社会全体の活力が失われることにもつながってしまいます。
生きる力の重要な部分を占める、体力の低下は創造性や人間性豊かな人材を育てることを妨げます。
将来の日本社会全体にとっても無視できない大きな問題になるでしょう。
体力の低下は将来的な、医療費などの社会的なコストの増加につながります。
こどもの体力低下は日本全体で解決していかないといけない課題です。
向上すべき「体力」とは
全般的に体力を向上させないといけないと言いますが、実際にはどのような体力を向上させる必要があるのでしょうか。
必要な体力について、文部科学省は大きく分けて2つの体力が必要と示しています。
(引用元:文部科学省|子どもの体力向上のための総合的な方策について(答申)II体力の意義と子どもの体力低下の原因、1子どもの体力の現状と将来への影響、(1)子どもの体力の現状)
1.運動をするための体力
体力・運動能力調査における全体の平均値を低下傾向から上昇傾向に転じ、当面これまでの最高値を超えることを目指す。
2.健康に生活するための体力
生活習慣病につながる要因に関する値(高血圧者の割合など)や生活習慣病にかかっている者の割合を現在より下げていくことを目指す。
つまり「体力」とは、「走る」「跳ぶ」「投げる」といった運動に必要な能力だけでなく、「高血圧」や「生活習慣病」のリスク低下やストレスへの抵抗力、インフルエンザや感染症にかかりにくい健康な体づくりに欠かせない基礎体力も含まれています。