呼吸と心臓についてのお話をします。
実は緊張やイライラ状態時の呼吸は心臓を苦しめています。
呼吸の基本と合わせて、呼吸と心臓についてのお話をしていきます。
呼吸とは
外界から酸素を取り入れ、二酸化炭素を排泄して、ガス交換すること。
呼吸には二種類に分けられ、外呼吸と内呼吸があります。
外呼吸とは肺で行われる酸素と二酸化炭素のガス交換のことを指します。
(空気と血液とのガス交換)
内呼吸とは血液によって運ばれた酸素は、細胞が必要とする細胞エネルギー(ATP)を産生するために、ミトコンドリアで利用されます。
(血液と細胞とのガス交換)
呼吸運動
呼吸運動(こきゅううんどう、breathing movement)とは、外界の空気を肺に取り込んだり、排出したりするために、肺の拡張・収縮を行うことです。
呼吸のメカニズム
心臓の収縮に関しては、意識して早くしたり遅くしたりすることはできません。
意識で調節できるというのは、呼吸の大きな特徴の1つです。
これには肺の運動において、いくつかのメカニズムが関係しています。
肺は空気の出し入れで伸びたり縮んだりするように思われがちですが、実際は違います。
肺そのものに自動的に動く仕組みはなく、肺が収まっている胸郭(きょうかく)の容積が変化することで、間接的に伸ばされたり、縮んだりしています。
胸郭の容積を変化させる方法
胸郭の容積を変化させる方法は、大きく2つあります。
1つは外肋間筋(ろっかんきん)を使う方法、もう1つは横隔膜(おうかくまく)を使う方法、です。
前者は胸式呼吸、後者は腹式呼吸と呼ばれます。
通常はどちらか一方ではなく、外肋間筋と横隔膜、両方の働きによって呼吸運動が行われています。
胸式呼吸
外肋間筋が収縮すると、肋骨が持ち上がって胸郭が前後左右に拡大、これによって肺は伸ばされ息を吸い込むことができます(吸気)。
反対に、外肋間筋が弛緩して胸郭が縮小すると、それによって息を吐き出すことができます(呼気)
腹式呼吸
横隔膜が収縮すると、下に降りて、胸郭がそれに伴って上下に拡大し、外気が取り込まれる(吸気)。横隔膜が弛緩して胸郭が狭くなると、息を吐き出すことができる(呼気)
換気の仕組み
肺における空気の出入りには、圧力も関係しています。
肺と胸郭(きょうかく)の間には胸膜腔という密閉された空間があり、ここは大気圧より常に圧力が低い状態(陰圧)になっています。
呼吸筋の収縮で胸郭の容積が拡大すると、それに伴って胸膜腔の内圧はさらに低くなります。
すると、ゴム風船(肺のモデル)を外側に引っ張ろうとする力が働き、その圧力で、空気がゴム風船の中に入り込むのです。
これが吸息です。
反対に、呼吸筋が弛緩(しかん)して胸郭の容積が小さくなると、胸膜腔の内圧はその分高くなり、その圧力でゴム風船は押しつぶされ、空気も押し出されます。
これが呼息です。
呼吸運動と自律神経
肺と心臓は胸周囲の筋肉(胸郭筋)と肋骨、肋軟骨に守られ、胸郭筋と肋骨内の狭い空間で互いにバランスよく拡張、収縮運動を行っています。
呼吸運動をコントロールしている神経系には末梢神経の一つである自律神経があります。
自律神経は交感神経、副交感神経に分けられ、全身のほとんどの器官を支配しています。
交感神経は、息を吸い込むときに優勢に働き、「息をゆっくり吐きなさい」とよく耳にすることがあるように興奮状態であったり、緊張しているときの働く神経で心筋の収縮力も高まっています。
逆に副交感神経は、息を吐くときに優勢に働き、リラックス効果が得られる神経で、睡眠時の体をやすめ、回復させる方向に働くと副交感神経が優位になるといわれています。
24時間休めない心臓の環境問題として、息を吐くことは、息を吸うよりも肺に押されず心臓もリラックスできるわけなので、大きく拡張し収縮して全身への血流を高めるためにも息をゆっくり吐くことを意識づけることが心臓を楽にする方法の一つです。